歴代新人王で打線組んだ

歴代新人王で打線組んだ

スーパールーキーズ

俗に言う「新人王」とは最優秀新人賞のことで、記者による投票によってセ・パ各リーグ1名ずつが選ばれる(該当者なしの場合もある)。投手野手全体の中での選出になり、なおかつ新人ではピッチャーの方が即戦力として活躍しやすい背景も手伝って、野手の新人王は狭き門となっているようだ。

1950年から2019年までの70年あまりの歴史の中で、野手で新人王に輝いたのは44名である。一旦以下の様に表にまとめた。

守備 セ・リーグ パ・リーグ
高卒 大卒 社会人 高卒 大卒 社会人
捕手   田淵       藤田2
一塁 村上2 小早川   榎本
清原
  (石井)
二塁   岡田
笘篠
武上 金子3 蔭山2
大石2
 
三塁   長嶋
桑田
仁志
金城2
中西 有藤
(片岡)
 
遊撃 立浪
(坂本2)
広岡
京田
佐藤
久慈
豊田   石毛
源田
外野   高田
谷沢
藤波
田尾
(高橋由)
青木2
松本3
高山
荒井2
(坪井)
赤星
長野
(近本)
張本
小関4
田中2 二村
熊野
※カッコ付きの選手は新人特別賞。
※名前横の数字は2年目以降に獲得した場合の年数

セ・リーグでは大卒ルートが最も多い。次いで社会人だが大学を経由してのケースが多い様だ。高卒は特別賞の坂本を入れても歴史上3人と狭き門。中でも高卒即ショートのレギュラーとなった立浪の存在が際立つ。

パ・リーグは対照的に各ポジションに高卒の新人王の歴史がある。大卒、社会人とも満遍なく存在している。

それでは今回は当時のポジションごとに追っていこうと思う。

キャッチャー

  • 田淵幸一(.226 22 56 1盗)法政大-阪神
  • 藤田浩雅(.287 22 69 3盗)関東自動車工業-阪急

キャッチャーは田淵と藤田の2名。数字だけ見れば断然藤田…なのだが、それだけでは言い切れない部分がある。スター性では田淵で、その後のキャリアも田淵が素晴らしいことを知っているからである。せっかく貴重な捕手が2人いるのだから、深く考えず2チームぶん選出しよう。セ・パで分けるか、学生と社会人で分けるか、即戦力と2年目以降で分けるか、どれでもいけそう!?

ちなみに高卒捕手は近年特に即戦力として活躍することさえ難しく、谷繁元信が80試合(75試合マスク).175・3HR・10打点、森友哉が41試合(24試合マスク).275・6HR・15打点が一軍戦力として頭角を現した好例だ。

ファースト

  • 榎本喜八(.298 16 67 12盗)早稲田実業高-毎日
  • 小早川毅彦(.280 16 59 8盗)法政大-広島
  • 清原和博(.304 31 78 6盗)PL学園高-西武
  • 村上宗隆(.231 36 96 5盗)九州学院高-ヤクルト②

ファーストは清原で満場一致だろう。ファーストは競争相手が助っ人外国人やチームの主砲である場合が多く、新人王はキャッチャーに次いで少なかった。ところで先ほどのチーム分け、ここで社会人出身がゼロに。どうしてもの場合は特別賞の「石井浩郎」に入ってもらうか他のポジションからのコンバートになる。セ・リーグは村上か小早川で悩むところ。

セカンド

  • 蔭山和夫(.315 6 28 42盗)早稲田大-南海
  • 武上四郎(.299 3 27 5盗)河合楽器-サンケイ
  • 岡田彰布(.290 18 54 4盗)早稲田大-阪神
  • 大石大二郎(.274 12 41 47盗)亜細亜大-近鉄②
  • 笘篠賢治(.263 5 27 32盗)中央大-ヤクルト
  • 金子誠(.261 4 33 15盗)常総学院高-日本ハム

セカンドはスピードタイプの選手が主流。その中で異彩を放つのが岡田。外国人監督の起用法のゴタゴタに巻き込まれる中で3割20本に手が届きそうな成績。ゴタゴタがなかったら届いていただろうか。51年の新人王・蔭山は時代の背景もあって1年目に出場数がかなりあっての2年目受賞。数字のバランスはいいがその辺が個人的に引っかかるところ。パ選出の対抗は大石。ちなみに名セカンドの仁志はサードメインでの受賞でこちらには属さない。

サード

  • 中西太(.281 12 65 18盗)高松第一高-西鉄
  • 長嶋茂雄(.305 29 92 37盗)立教大-巨人
  • 桑田武(.269 31 84 25盗)中央大-大洋
  • 有藤道世(.285 21 55 4盗)近畿大-ロッテ
  • 原辰徳(.268 22 67 6盗)東海大-巨人
  • 仁志敏久(.270 7 24 17盗)日本生命-巨人
  • 金城龍彦(.346 3 36 8盗)住友金属-横浜②

サードが一番人材豊富かもしれない。成績は二冠王の長嶋茂雄がダントツ。本塁打王の桑田。首位打者の金城がいる。パ選出なら有藤か。

ショート

  • 佐藤孝夫(.265 14 33 45盗)仙台鉄道管理局-国鉄
  • 豊田泰光(.281 27 59 25盗)水戸商高-西鉄
  • 広岡達朗(.314 15 67 9盗)早稲田大-巨人
  • 石毛宏典(.311 21 55 25盗)プリンスホテル-西武
  • 立浪和義(.223 4 18 22盗)PL学園高-中日
  • 久慈照嘉(.245 0 21 4盗)日本石油-阪神
  • 小坂誠(.261 1 30 56盗)JR東日本東北-ロッテ
  • 梵英心(.289 8 36 13盗)日産自動車-広島
  • 京田陽太(.264 4 36 23盗)日本大-中日
  • 源田壮亮(.270 3 57 37盗)トヨタ自動車-西武

サードに負けず劣らず、いやもしかしたらショートの方が人材豊富かも。ライオンズ、ショートの新人&育成能力すごいね!豊田-石毛-田辺-松井-中島-浅村-源田…いやはや。高卒の豊田もすごい。広岡や石毛の3割越えも素晴らしい。まあでも順当に行けばセは広岡、パは石毛かな。

外野手

  • 張本勲(.275 13 57 10盗)浪華商高-東映
  • 高田繁(.301 9 30 23盗)明治大-巨人
  • 谷沢健一(.251 11 45 6盗)早稲田大-中日
  • 藤波行雄(.289 1 15 1盗)中央大-中日
  • 田尾安志(.277 3 21 0盗)同志社大-中日
  • 二村忠美(.282 13 35 6盗)九州産交-日本ハム
  • 熊野輝光(.295 14 60 13盗)日本楽器-阪急
  • 荒井幸雄(.301 9 38 2盗)日本石油-ヤクルト②
  • 小関竜也(.283 3 24 15盗)國學院栃木高-西武
  • 赤星憲広(.292 1 23 39盗)JR東日本-阪神
  • 青木宣親(.344 3 28 29盗)早稲田大-ヤクルト②
  • 松本哲也(.293 0 15 16盗)専修大-巨人育成
  • 長野久義(.288 19 52 12盗)Honda-巨人
  • 高山俊(.275 8 65 5盗)明治大-阪神
  • 田中和基(.265 18 45 21盗)立教大-楽天②

パ・リーグは5人の中から3人選ぶ事になるのだが、実はそこまで大差ない。「のちの大打者だから」という『田淵論法』からいえば張本は外せないが、そこまでダントツでもないのである。結果的にやや見劣りする小関と二村を外し、張本・熊野・田中の3人に決まった。

セ・リーグは4人までは簡単に絞れた。高田・赤星・青木・長野である。高打率で首位打者の青木を外す手はないだろう。盗塁王赤星、走攻守バランスのいい高田、それをパワーに寄せた感じの長野。収拾つかないので前後のバッターをみて判断しよう。

セ・リーグ歴代新人王チーム

# P PLAYERNAME T Y AVG HR RBI SB OPS
1 青木宣親 05 .344 3 28 29 .803
2 赤星憲広 01 .292 1 23 39 .710
3 岡田彰布 80 .290 18 54 4 .820
4 長嶋茂雄 58 .305 29 92 37 .931
5 桑田武 59 .269 31 84 25 .902
6 村上宗隆 19 .231 36 96 5 .814
7 広岡達朗 54 .314 15 67 9 .923
8 田淵幸一 69 .226 22 56 1 .777
9 長野久義 10 .288 19 52 12 .821
  高田繁 68 .301 9 30 23 .869

パ・リーグ歴代新人王チーム

# P PLAYERNAME T Y AVG HR RBI SB OPS
1 石毛宏典 西 81 .311 21 55 25 .911
2 大石大二郎 82 .274 12 41 47 .731
3 榎本喜八 55 .298 16 67 12 .887
4 清原和博 西 86 .304 31 78 6 .976
5 有藤道世 69 .285 21 55 4 .863
6 熊野輝光 85 .295 14 60 13 .848
7 張本勲 59 .275 13 57 10 .765
8 藤田浩雅 84 .287 22 69 3 .900
9 田中和基 18 .265 18 45 21 .746
  豊田泰光 西 53 .281 27 59 25 .874

セ・リーグはスーパースター長嶋茂雄を中心とした打線。安打製造機・盗塁王・長打力など一芸に特化した選手が多く見られる。

一方のパ・リーグは全体的にバランスが良く、どこからでも点を取れそうな隙のない打線。

張本や田淵ら球史に残る大打者もルーキーの時はOPS.700代。他の新人王と比べても物足りない数字。反対にイメージより高かったのは広岡の.923。当時7番や数年後も2番を打つことが多かったのであえて7番に置いたが、3番適任者不在(しいていうなら長野)のセ・リーグ打線なら3番を任せても良さそうである。

総合チーム

1(遊)石毛宏典 RR
2(右)青木宣親 RL
3(指)榎本喜八 LL
4(三)長嶋茂雄 RR
5(一)清原和博 RR
6(二)岡田彰布 RR
7(左)熊野輝光 RL
8(捕)藤田浩雅 RR
9(中)赤星憲広 RL

新人王経験者(全盛期ver)

# P PLAYERNAME T Y AVG HR RBI SB OPS
1 青木宣親 07 .346 20 58 17 .942
2 榎本喜八 66 .351 24 74 14 1.011
3 張本勲 70 .383 34 100 16 1.116
4 長嶋茂雄 63 .341 37 112 4 1.094
5 清原和博 西 90 .307 37 94 11 1.068
6 田淵幸一 75 .303 43 90 2 1.094
7 岡田彰布 85 .342 35 101 7 1.057
8 石毛宏典 西 86 .329 27 89 19 .917
9 赤星憲広 05 .316 1 38 60 .768
  中西太 西 55 .332 35 98 19 1.049