正捕手ヒストリー(セントラル)

正捕手ヒストリー(セントラル)

優勝チームに名捕手あり

『優勝チームに名捕手あり』という言葉があるが、実際はどれほどの影響があるのか。調べてみると常勝軍団にはやはりいい捕手が確かにいた。強肩・強打・堅守、さらに息の長い頑丈なキャッチャーの存在がチームを安定させているのはひとつの真実だろう。反対に優秀な捕手を固定できないチームは低迷が続き暗黒時代へまっしぐら…なのかもしれない。

歴代正捕手一覧表

巨人 阪神 中日 広島 横浜 ヤクルト 備考
19 小林 梅野 加藤 會澤 伊藤光 中村悠  
18 小林 梅野 松井 會澤 嶺井 中村悠  
17 小林 梅野 松井 會澤 戸柱 中村悠  
16 小林 原口 杉山 石原 戸柱 中村悠  
15 小林 鶴岡 杉山 會澤 嶺井 中村悠  
14 阿部 梅野 谷繁 會澤 黒羽根 中村悠  
13 阿部 藤井 谷繁 石原 鶴岡 相川  
12 阿部 藤井 谷繁 石原 鶴岡 相川  
11 阿部 藤井 谷繁 石原 細山田 相川  
10 阿部 城島 谷繁 石原 武山 相川  
09 阿部 狩野 谷繁 石原 細山田 相川  
08 阿部 矢野 谷繁 石原 相川 福川  
07 阿部 矢野 谷繁* 石原 相川 福川 *セ2位
06 阿部 矢野 谷繁 石原 相川 米野  
05 阿部 矢野 谷繁 相川 古田  
04 阿部 矢野 谷繁 石原 相川 古田  
03 阿部 矢野 谷繁 石原 中村武 古田  
02 阿部 矢野 谷繁 木村一 中村武 古田  
01 阿部 矢野 中村武 西山 谷繁 古田  
00 村田真 矢野 中村武 西山 谷繁 古田  
99 村田真 矢野 中村武 西山 谷繁 古田  
98 村田真 矢野 中村武 瀬戸 谷繁 古田  
97 村田真 関川 中村武 西山 谷繁 古田  
96 村田真 山田 中村武 西山 谷繁 古田  
95 村田真 関川 中村武 瀬戸 秋本 古田  
94 村田真 関川 中村武 西山 谷繁 古田  
93 村田真 関川 中村武 西山 谷繁 古田  
92 大久保 山田 中村武 達川 秋本 古田  
91 村田真 木戸 中村武 達川 谷繁 古田  
90 村田真 木戸 中村武 達川 谷繁 古田  
89 中尾 木戸 中村武 達川 市川  
88 有田 木戸 中村武 達川 市川  
87 山倉 木戸 中尾 達川 若菜 八重樫  
86 山倉 木戸 中尾 達川 若菜 八重樫  
85 山倉 木戸 中尾 達川 若菜 八重樫  
84 山倉 山川 中尾 達川 若菜 八重樫  
83 山倉 笠間 中尾 達川 加藤 八重樫  
82 山倉 笠間 中尾 達川 高浦 大矢  
81 山倉 若菜 中尾 水沼 福嶋 大矢  
80 山倉 若菜 木俣 水沼 福嶋 大矢  
79 山倉 若菜 木俣 水沼 福嶋 大矢  
78 山倉 田淵 木俣 水沼 福嶋 大矢  
77 吉田孝 田淵 木俣 水沼 福嶋 大矢  
76 吉田孝 田淵 木俣 水沼 福嶋 大矢  
75 矢沢 田淵 木俣 水沼 伊藤勲 大矢  
74 吉田孝 田淵 木俣 西沢 伊藤勲 大矢  
73 田淵 木俣 水沼 伊藤勲 大矢  
72 田淵 木俣 久保 伊藤勲 大矢  
71 辻恭 木俣 水沼 伊藤勲 大矢  
70 田淵 木俣 久保 伊藤勲 大矢  
69 田淵 木俣 田中尊 伊藤勲 加藤俊  
68 辻恭 木俣 田中尊 伊藤勲 加藤俊  
67 辻佳 新宅 久保 伊藤勲 岡本  
66 辻佳 木俣 田中尊 伊藤勲 岡本  
65 辻佳 木俣 田中尊 伊藤勲 根来  
64 辻佳 小川 田中尊 伊藤勲 根来  
63 福塚 小川 田中尊 土井 根来  
62 戸梶 江藤 田中尊 島野 根来  
61 山本 吉沢 田中尊 土井 根来  
60 山本 吉沢 田中尊 土井 根来  
59 藤尾* 山本 吉沢 田中尊 土井 根来  
58 藤尾 山本 吉沢 田中尊 土井 根来  
57 藤尾 山本 吉沢 川原 土井 谷田  
56 藤尾 石垣 河合 門前 目時 佐竹  
55 広田 徳網 河合 門前 目時 佐竹  
54 広田 徳網 野口 門前 目時 佐竹  
53 広田 徳網 野口 門前 目時 佐竹 (松竹*)
52 広田 徳網 野口 門前 荒川 佐竹 目時
51 徳網 野口 辻井 門前 佐竹 荒川
50 藤原 徳網 野口 阪田 門前 宇佐美 荒川
              日比野*
背景黄色はリーグ優勝、背景赤色は日本一
赤文字はベストナイン、太字はGG賞、下線はリーグMVP
● 併用シーズンは試合数、打席数、成績、背景など考慮し1名選出
※72年よりダイヤモンドグラブ賞、86年以降はゴールデングラブ賞
※備考:50年-52年は松竹ロビンス、さらに下段の日比野は西日本パイレーツ(50年)
※59年巨人は森が正捕手と言えるが藤尾B9選出の都合で彼を掲載

球団別・捕手考察

読売ジャイアンツ

広田順〜藤尾茂〜森昌彦〜山倉和博〜村田真一〜阿部慎之助

巨人は名捕手に恵まれている球団だと言える。50年代から70年代にかけてあれだけ優勝を重ねて来られたのは川上やONらの存在があったにせよ、どの球団より正捕手を固定できていたことは大きな理由のひとつになるだろう。やがて森の時代が終わり、ライバル球団に田淵・木俣・大矢らが台頭し始めると共に巨人の黄金時代は途切れ群雄割拠の時代へ突入する。時は流れ、キャリアを積んだ阿部慎之助が覇権を握るとまた強い巨人軍が戻ってきた。

阪神タイガース

田淵幸一〜若菜嘉晴〜木戸克彦〜矢野輝弘

稀代のスラッガー田淵幸一の入団は、待ちに待ったスケールの大きな正捕手の誕生となり一時代を築く。その田淵を涙のトレードで手放したのが運の尽きか、お家騒動が勃発、優勝とも縁がなくなる。21年ぶりの優勝となった85年の虎フィーバーが来るが、その時に正捕手を務めたのは法大出身で田淵の後輩にあたる木戸。その彼も長年正捕手を務めたがチームは長い長い暗黒時代へ。20世紀も終わりかけた頃、中日からやってきた矢野が野村監督の下で学び星野監督の時に開花。2度のリーグ優勝を果たすなどAクラスの常連となる。この躍進は矢野の存在なくしては果たし得なかっただろう。

中日ドラゴンズ

野口明〜木俣達彦〜中尾孝義〜中村武志〜谷繁元信

強打の捕手・木俣の登場以降、谷繁まで世代交代が完璧になされているようだ。途中、中尾の外野コンバートや放出があったものの、中尾・中村のドラ1捕手は期待に応えリーグ優勝にも貢献している。FAで獲得した谷繁は中日をAクラスの常連に安定させ、引退後は監督も務めた。皮肉なことに谷繁引退以降は正捕手を固定できておらずチームも低迷している。

広島東洋カープ

田中尊〜水沼四郎〜達川光男〜西山秀二〜石原慶幸〜會澤翼

長年の傾向として、黒子的役割の守備型キャチャーが多いようだ。そして皆カープひと筋のイメージが強い。「江夏の21球」を受けた水沼は俊足でもあり、デッドボール演出家の達川など昭和のカープはどこか個性的。平成に入ってからは西山・石原など地味ながらも堅実な面々へと受け継がれてきた。令和に入り、チャンスに強い鯉の番長・會澤もFA流出濃厚かというのが大方の予想だったが、一転残留。カープ愛を貫くパワー型捕手への期待と信頼は大きい。

横浜DeNAベイスターズ(大洋・大洋松竹・他)

門前眞佐人〜土井淳〜伊藤勲〜福嶋久晃〜谷繁元信〜相川亮二

なんせこのチームは出入りが激しい。育っても出て行く、出ていきゃ獲る、「若手捕手の登竜門」「ベテラン選手の行き着く先」そんなイメージすらあるのかもれない。球団での自己最多本塁打がそれぞれ、門前25本・伊藤23本、福嶋18本、谷繁20本とパンチ力のある選手も目立つ。しかしながら球団通算でベストナインが2回、ゴールデングラブが1回では寂しすぎる。リーグを代表するほどの捕手の出現が待たれる。

ヤクルトスワローズ(国鉄・サンケイ・他)

佐竹一雄〜大矢明彦〜八重樫幸雄〜古田敦也〜中村悠平

生涯で4度のノーヒットノーラン(うち1回が完全試合)を受けた佐竹。鉄砲型の大矢はのちに監督を務めた。独特のオープンスタンス打法の強打者・八重樫。そして歴代トップクラスのキャッチャー、ID野球の申し子・古田。唯一無二の存在が並ぶ。大きく振り返ると「大矢時代」と「古田時代」が顕著。現正捕手の中村悠平は時代を築き、割って入ることができるか。

個別比較データ

PLAYERNAME 正捕手 BEST9 GG賞 セ優勝 V回数 MVP Pt
古田敦也 16 9 10 5 4 2回 87
森昌彦 14 8 0* 11 11   85
阿部慎之助 14 9 4 7 3 1回 72
谷繁元信 23 1 6 6 2   59
山倉和博 10 3 3 3 1 1回 38
達川光男 11 3 3 3 1   34
大矢明彦 13 2 6* 1 1   34
中尾孝義 8 2 2 2 1 1回 29
村田真一 10 1 0 4 2   28
矢野輝弘 11 3 2 2 0   27
木俣達彦 13 5 0* 1 0   26
広田順 4 3 -- 3 3   25
藤尾茂 4 4 -- 4 0   24
田淵幸一 9 5 2* 0 0   23
中村武志 16 0 0 2 0   22
水沼四郎 9 0 0* 3 2   22
石原慶幸 10 1 1 1 0   17
野口明 5* 2 -- 1 1   14
木戸克彦 7 0 1 1 1   14
土井淳 6 1 -- 1 1   13
※ポイント(Pt)算出法「正捕手=1p」「B9=2p」「GG=2p」「優勝=3p」「V=2p」「MVP=5p」合計
※「正捕手4以上」かつ「B9+GG賞+優勝」が2以上の選手を抜粋
※「正捕手10未満」の現役選手は除外
※セ・リーグの記録のみ反映
※DG賞・GG賞は1972年以降を対象
※野口明は49年にも正捕手を務めておりその分を含めると6回

「正捕手」「ベストナイン」「ゴールデングラブ」「リーグ優勝」「V回数」「MVP」をポイント化し独自の算出方法でランク付けした。巨人V9捕手の森は晩年にダイヤモンドグラブ賞が創設されたこともあり不利な中で大健闘の2位。谷繁・矢野・阿部ら同じ時代のライバルとしのぎを削った古田が見事1位に輝いた。

この企画はとても面白かったので、またいつか、GG補正と打撃タイトルなども加味したポイントでランクをつけてみたいと考えている。